名古屋地方裁判所 昭和45年(ワ)2853号 判決
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〔判決理由〕二、<証拠>を総合すれば被告は昭和四三年八月一日訴外株式会社共栄商会に対し、金三〇万円を貸付けたことが認められる。
原告が右消費貸借につき右訴外会社のため保証することを承諾し、その保証契約の締結を右訴外会社の代表者佐賀野三郎に委任したことは当事者間に争いがなく、そして<証拠>を総合すれば、佐賀野三郎は原告から預つた印章を使用して、原告の代理人として右借受金三〇万円全額につき連帯保証契約を締結し、且つ訴外羽澄輝彦に右消費貸借につき公正証書を作成することを委任したことが認められる。
三、<略>
四、訴外羽澄輝彦が原告の代理人として本件公正証書を作成していることは当事者間に争いがない。
原告は、佐賀野三郎に公正証書作成のための復代理人を選任する権限を与えていないと主張するが、金融業者から金を借りた場合には、それに関する公正証書の作成を金融業者に一任するのが通例であるから、原告は佐賀野三郎に公正証書作成のための代理人を選任する権限をも与えていたものと解するのが相当である。よつて佐賀野三郎が右原告の授権に基づいて選任した復代理人羽澄輝彦が関与して作成した本件公正証書には代理権欠缺の瑕疵はないものというべきである。
又原告は羽澄輝彦は被告会社の従業員であるから、同人が原告を代理して作成した本件公正証書は自己契約として無効であると主張するが、右甲第一号証によれば本件公正証書は既に成立した契約について作成したものであることが認められるから、右羽澄輝彦の代理行為については(羽澄輝彦が被告会社の取締役であることは同人の証言によつて明らかである)民法第一〇八条但書の適用があり、無権代理にはならないものというべきである。(松本重美)